ほっこり夫婦の日常 〜つけてもつけても消える〜

健一くんが、だいぶ調子に乗っているので
ここでは真実も書いておこうと思う。

健一くんの辞書には、

「電気を消す」

という文字がない。
眩しさが苦手なわたしは、家の中でもできるだけ暗いところを好む。一方、健一くんはとにかく煌々と明るい場所が好き、というか、電気をつけるのが好きらしい。
どのくらい好きかというと、窓のあるキッチンで、昼間に水を飲むだけでも、キッチンにあるふたつの電気をマックスにつける。

暗いから電気をつける、ではなく、恐らくそこに電気があるからつける
ふたつスイッチが並んでいるから、ふたつともスイッチを押す、という反射だと思う。

そこまではいい。
ぜんぜんオッケーだ。

明るくしてハッピーならば
つけられるだけつければいいと思う。

問題なのは、つけた電気を消すことができない、ということだ。
なぜそんなことになるのだろうかと観察した結果、ある事実が見えてきた。
基本、健一くんが行動するとき、前は見ているけれど、自分の通ったあとは決して振り返らないと言うこと。
なので、健一くんのあとは、電気はついている、引き出しはあいている、ドアは開いている、網戸も開いている、クローゼットも空いている、という状況になる。

消してと、永年頼んできたが無理だったので、わたしが気がついたら消す方式に切り変えた。
後をつけて消して回っている感じだ。そうなると、わたしも仕事中、モニターから目を離すたびに、どこかの電気を消しに行くことになる。
そして、元々が嫌味キャラなので、ただでは消さない、

ここの電気消しとくね〜

と毎回聞こえるように言う。

あ、またすいませんと、健一くんは本気で決まり悪そうに謝る。
こんなことでも、結構気が晴れる。
プレイだ、電気をつけるプレイに消すプレイ。不毛と言えるけど…

今日の午後のこと、キッチンで、いつものように、去っていく健一くんの背中を見ながらスイッチを切った。
ベランダでのびのび体を伸ばして干してある布団に顔をうずめ、あったかいなあと日向ぼっこしている健一くんを眺めて、
またキッチンに電気がついていることに気がついた。

あれっ、ほんの2分前に消したはずなのに。魔法か!!と驚いた。
確実に消した電気が、もうついているなんて。いつの間に…

さすがだ…
尊敬すら感じた瞬間だった。

ここまで行くと、怒る気はしない。
病いなのだと思うから、責めることではないし、もはや治らないと思う。
治らないものに腹を立ててもこちらが損をするだけだ。

つけっぱなしにしないためにはどうしたら良いだろうかと考えた時、いいことを思いついた。
ブレーカーを落としてしまって、夜は蝋燭をつけて過ごすのはどうだろう。
楽しそうだなあ。コレクションのたくさんの蝋燭が、わたしの引き出しの中で出番を待っている。
いつかやってみたいなぁと思ったら、わくわくしてきた。


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