誤魔化すのがたいへんだった
何をつくろうかと考えた時に、「肉じゃが」というド直球なメニューが浮かんだ。
しかし、
「シンプルなものほど難しい」
そんな世界の真理がある、
なので、急遽ポテトサラダに変更した。
わたしの口は、一度ポテトを食べる口になると、もう簡単には変えられないという習性がある。
小学校のころ、調理実習で作ったポテトサラダに差をつけるべく
マヨネーズを手作りし、きゅうりは甘酢漬けにしたものを使うことにした。
あえて泡立てマシーンを登場させ、ウイーンとマヨネーズを撹拌する。
あのキューピーちゃんのマヨネーズみたいに、いつになったらとろりと白っぽくなるのだろうか・・・
そんな理想のマヨネーズ像を思い浮かべながら、ボールを傾けて泡立て続けた。
しかし、やってもやっても、白くもならないしとろりともならない。
いつまでたっても、さっきまで卵の黄身だったことがわかるような黄色とダマダマが残っている。
このあたりでだんだん時間が気になって来てアレクサに時間を尋ねると、予想以上に時間が経過していることがわかった。
今日は21時から読書会だからお尻がきまっているのだ。
いつまでもマヨネーズにかかわっていられないことは確かだ。
まあいっか・・・を発動させて、ポテトとにんじん、ハムときゅうりの上に黄色いダマダママヨネーズを投入した。
すると、なんと、その姿はわからなくなってしまった。なんとなく馴染んだしまったのだ。
うふふ、だいじょうぶそう。
大根を竹串が通るくらいう柔らかく煮て、もう一度味をつけた出汁で煮てゆっくり味を染み込ませる。
最後に揚げ物でフィニッシュだ!と油をお鍋に注ぐところで、
大根とチキンが両方揚げ物じゃないか、揚げ物ダブルブッキングだ!ということに気がついた。
なぜ、今まで気がつかなかったんだろう・・・
すべてを並行して進めて、最後に同時に「フィニッシュ!」するという私の料理の美学が崩れ去った瞬間だった。
仕方なく大根を揚げ終わってから、チキンを揚げにかかる、その間大根にかけるあんかけにもう一度火を入れる。
チキンを片側あげたところで、慌てていて、チキンに片栗粉をまぶすのを忘れていたことに気がついた。
タイヘン・・・なんということだ・・・
一度チキンを引き上げてから、強引に片栗粉を全面にまぶし、もう一度揚げるというヘンテコなテクニックは通用するのだろうか
物事はやってみなければわからないというじゃないか・・・
健一くんの部屋のドアに目をやると、健一くんは部屋から出てくる気配はない。
よしやってみよう。
片栗粉を、キッチンペーパーの上に引き上げたチキンにふりかけた。あつっあつっと、箸やら手やら使いながらなんとかまぶし終わって、無事油の中にリターンすることができた。
最後にこんがり上がったチキンは、誤魔化せたのか、やらない方がよかったのか、もうよくわからない姿になっていた。
おいしい、ほんとにおいしい、どれもおいしい・・・
と相変わらず何度も言ってくれた。
今日はとっても疲れた=いろいろ誤魔化すのがたいへんだった
という感想だ
こんな風に褒めてくれなかったら、今回で最後にしようと思ったかもしれない。
来週つくるものは、もうちょっと簡単なやつにしよう。