ことしのクリスマスもケーキはありませんでした

去年のクリスマスは、

デパ地下のケーキ売り場の行列を見て

あー、並ぶとかムリだわと諦め、

大福をケーキに見立ててローソクを立て

メリークリスマスをしました。

ねね、今年はどうする?

と数日前から一応投げかけてみたものの

イブの夜になって、ご飯が終わった頃に

「今から、サプライズでケーキが出てきたりする?」

「オレはないよ」

「だよね、わたしもない」笑

てな感じで迎えたクリスマスの朝

枕元にプレゼントなどあるわけなく

朝ひらめいたのだ

そうだ、あのお店でお茶をしよう

健一くんは東京に日帰り出張中だったので

お店にひとり分の席の予約の電話を入れ

さっきランニングした道を

今度は自転車をぐるんぐるん飛ばし

風を切ってペダルを漕いだ

普段は歌なんか歌わないのに

鼻歌を歌いながら

最高だった

お店に着くと

いちばん小さなテーブルに案内されて

特別席みたいで嬉しかった

ふと周りを見ると

いつの間にかお客さんはわたしひとり

まるで、夜空を見上げながら

露天風呂にぷかぷか浮かんでいるように

お店の天井にある小窓を見上げたり

本を読んだり

ぼんやりしたり

いったいなにを考えていたんだろう

なにも考えていなかったのかもしれない

あっという間の3時間だった

クリスマスっぽいしつらえが

何もないのもよかった

お店を出ると

もう真っ暗だから

ライトをつける

下り坂を

わぁーっと言いながら

足をペダルから離して駆けおりる

田舎は人通りか少ないから大丈夫大丈夫

オレも行きたかったなぁ

と、健一くんは残念そうだったけど

今日はたぶんひとりがよかった

ちなみに、ディナーは

お好み焼きでした

ゆっくり話したい時は

いつもお好み焼きだから。

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