梅酒が美味しくなる日
今年の梅酒作りの日程が決まった。
まだ2ヶ月くらい先なのだけど、日程が決まったところから、もう梅酒づくりは始まっている。梅酒づくりの当日を想像しただけで、うふふ…楽しみだ。もうきっと夏だよなぁ。
淡路島の、風がするすると通り抜けるお部屋で、たたみの上に座って、みんなでテーブルを囲み、爪楊枝をさしてヘタをぶすぶす取るんだ。
基本、大人数でワイワイ騒ぐのはあんまり好きじゃないんだけど、梅酒は多分違う。ひとりよりも、何人かでおしゃべりしながら作るのがきっと楽しい。夏の匂いとか、お尻の下のお座布団のツルツル具合とか、手で掴んだ梅の感触とか、梅の青さとか、ぼーっとする時間とか、ぜんぶが梅酒の味付けになる。
すべて終わったところで、梅酒はすぐには飲めないことがわかった。飲めるまで数ヶ月もかかるのだ。ショックだった…もう、すでにこんなに美味しそうなのに…
持ち帰ってから、お砂糖やらが溶けるまで大きな瓶ごと持ち上げて、毎日ゆすった。瓶をひっくり返したり、ゆらしたりする。それだけのことなんだけど、毎日世話していると、自分が梅酒を育ててるみたいな気持ちになった。日ごと梅酒が可愛くなる、日ごと梅酒への愛が深まった。そして、美味しさへの期待がむくむくと高まっていった。こんなに毎日手をかけたんだから、美味しくないわけがない…
あんまり待ち遠しかっだものだから、早く飲みたいなぁと、キッチンを通りかかるたびに毎日つぶやいていたら、
まだ、梅つまんじゃだめだよ
まだ飲んじゃダメだよと
禁止令が発令された。
禁止令が出されると、より一層瓶の中の梅はキラキラと輝いて見えた。
もうそろそろいいかな…
いいかな…
ちょっとフライング気味で飲んだ梅酒は、今までお店で飲んだ、どんな梅酒より「いい味だな」と思った。